じゃんけん、ほーいほーい
この1ヶ月、本項も沈うつな筆致が多かったので、少し気分を変える内容がないか、しばし思案。
今回は、「日本じゃんけん協会」が「志村けんさんが〝最初はグー〟を考案した」と追悼コメント出したことで、その功績が更に評価にされていることに紐づけて、駄閑話します。
「最初はグー」については、『全員集合』のリアルタイムのヘビーウォッチャーだった私には自明のことでしたが、しばし思い出遡行の旅に出たところ、ふと小学校で流行っていた、もう一つの「じゃんけんの亜種」の記憶にたどり着きました。
それが、両手で行う「じゃんけんホイホイ」です。
ネットで調べてみると、こちらも志村さんのコント番組『志村けんの 大丈夫だぁ〜』が起源との記述がありました。(下記のリンクを参照)
「就寝コント」は私も無性に好きで、つい最近もYouTubeで見直したくらいなのですが、志村さんと石野陽子さんが「じゃんけんホイホイ」に興じていたことは、記憶からすっかり抜け落ちていました。
やっぱり、私の世代の児戯は志村さんに還っていくんだと、改めて驚かされました。
この「じゃんけんホイホイ」について、妻に尋ねたら、一瞬、キョトンと怪訝そうな表情。
「掛け声が違う」
と言うのです。
私が口にしたのは、
「ジャンケンほいほい、引っこ抜いてホイッ!」
「あんたばっかねー、ビームフラッシュ!」
ですが、妻が言っていたのは、
「ジャンケンぽいぽい、どっち引くの〜、こっち引くの〜」
「あんたばっかねー、大馬鹿ねー、ビームフラッシュ!」
妻曰く「ほい」とか「引っこ抜いて」は「田舎臭い」んだそうです。
私に言わせれば、「大馬鹿」と追い打ちかける方は、救いがなくてひどいもんと思いますが…。
(実は、「引っこ抜いて」か「引っ込めて」か、どっちを言っていたか記憶が曖昧なのですが、今回、最初に口をついて出たのは「引っこ抜いて」。)
ただ、確かに、上記の参照リンクでも、Aパートで
「じゃんけんホイホイ どっち隠す こっち隠す」
「じゃんけんホイホイ どっち抜かす こっち抜かす」
「じゃんけんホイホイ どっち出すの こっち出すの」
「じゃんけんホイホイ いっこ替えて いっこ出して」
Bパートの、いわゆる「ウルトラじゃんけん」でも、
「あんたチョット馬鹿ね。あんたよりましよ」
「あんたチョット馬鹿ね。あんたよりましよ。ビームフラッシュ!」
「あんたチョット馬鹿ね。あんたよりましよ。ビームシュワッチ!」
「あんたチョット馬鹿ね。ほっといて」
と、各地域のローカルルールが、多種多様にあるようです。
さらに調べると、今ではコンプラ的に絶対アウトのものも…。↓
今回調べた範囲で、個人的にベスト1を決めるとしたら、これです。
せっせっせ~のみそら~めん!しおら~めん!
ごーぼーうーにしーたけにんじんあ~じのもと!ハァ!!!!(勢いをつける)
ゆ~でたまご!ハア!!!!そーめんつけて~グッチッパ!
パノグノピ!ピノグノパノグノピノグノパ!
ジャンケンシッシ~どっちだ~すの
こっちだ~すの!
もう、原型が同じかどうかすら怪しい、超異次元のアレンジ。
幼稚なことに真剣だった志村さんの芸風に、触発された子供たちも、思う存分に幼稚エネルギーを無限コンボさせていたんですね。
いやはや、今更ながら志村さんのスゴさを、思い知るばかりです。
さて、ここで軌道修正して、少しお坊さんっぽい話もしておきましょう。
「日本じゃんけん協会」のホームページでは、じゃんけんの語源の一つは、仏教用語の「料簡法意(りょうけんほうい)」だと紹介されています。
そして私は未見ですが、かつての人気テレビバラエティー『ぶっちゃけ寺』でも、同じように紹介されていたようです。
「料簡」とは了見、つまり推し量り、善悪是非を択び分けること。
禅宗では「臨済(義玄)の四料簡」という語句があり、スッカスカにごく浅く説明すると、修行者の機根の段階によって、師家が接得する手段のことを言います。
「法意」は、ネットの記事だと「仏の考え、教え」という意味があるとのことですが、一般的な仏教語辞典では見当たず、出典も分からない語句です。
でも意味からすると、「法爾」が近いでしょうか。
音の変化としては少し無理がある気もしますが、仮に「じゃんけん」の語源が「料簡法意」だとするならば、人間同士の目先の勝ち負けの結果は、仏の意思にお任せする(西洋だと「神のみぞ知る」)、つまり「任運無作(にんうんむさ)」であり、ラグビーでいう「ノーサイド」にも通じる、ちょっと意味深そうな言葉になるではありませんか!
ですから、ぜひ仏教徒は、特に「法意」の意味を大切にして、
「じゃんけん、ほーい!」
と威勢良く唱えたいものです。
「ぽい」とか「ぽん」とか言うのは、くれぐれも「ご法度」です!(副住職 記)
0コメント