4/11 第67回 出雲観音霊場巡拝のご報告(拡声器などについても)
4月11日(日)、願興寺観音講主催の第67回出雲観音霊場巡拝が開催されました。
昨春予定だった第66回が秋に延期になった上、代参による開催となったため、団体参拝としては、実に1年半ぶりの開催となりました。
当日の参加者は19名、代参を依頼された方は6名と、コロナ禍前のおよそ半分の参加規模とはなりましたが、暖かい春の日差しも手伝って、久しぶりの同行同修に悦びに心躍る巡拝となりました。
【1ヶ寺目】第16番 普済寺
この日は、松江市八雲町にある普済寺(常榮寺)から巡拝開始。
山門正面からお参りすると急な階段を登りますが、車両で裏まで回ると、本堂裏まで上がることができます。
ご住職がいらっしゃたので、ご挨拶。
この後、兼務寺院のある出雲市まで、車で出かけられました。齢80代半ば。まだまだご壮健です。
雲ひとつない青空の中、お勤めをさせていただきました。
【2ヶ寺目】第17番 星上寺
続いてお参りしたのは、普済寺と同じ八雲町内にある星上寺。
本堂のある星上山上には、中型バス以上の車両は上がれないため、広瀬町に抜ける国道432号線から、およそ2kmの山道を歩いてお参りします。
参拝後に山を下りて、再び432号線でバスに乗って、一路安来市へ。
足立美術館横の『安来節演芸館』で昼食を摂ります。
当然ですが、ここでもやはりソーシャル・ディスタンスが徹底。1つのテーブルで2人づつ、正対を避けて交互に席が用意されていました。
隣接する足立美術館の駐車場、コロナ禍の前は観光バスでいっぱいでしたが、好天の日曜だったにもかかわらず、観光バスは1台も停まっていませんでした。
【3ヶ寺目】第18番 巖倉寺
午後最初のお参りは、月山富田城址の直下にある巖倉寺です。飯梨川沿いにバスを止めてお参ります。
【4ヶ寺目】第19番 観音寺
続く観音寺は、同じ巖倉寺の境内、奥まってはいますが、ほぼ横並びのところにあります。
この日の記念写真。
左側が巖倉寺。向かって右側、暗くて見えにくいですが写真のほぼ中央奥が、観音寺です。
この後は伯太町の長台寺に向かうのですが、途中で旧伯太町役場近くのチューリップ畑を通りがかり、あまりの色鮮やかさに目を奪われ、思わず途中下車。
コロナ禍のため、例年の「チューリップ祭り」は中止となったようですが、それでも格別の陽気に誘われたのか、多くの方が鑑賞に訪れておられました。もちろん、お互いに「ソーシャル・ディスタンス」を保ちながら。
疫病と付き合いながら、風物詩に心潤わす。人間活動の一切合財がストップしたような昨年の今頃では、考えられなかった光景です。
バスからチューリップ畑に向かう巡礼者の列に挟まれる、ひと組のカップル。心寄せ合う2人に、ソーシャルディスタンスとは無縁のようですね。合掌。
【5ヶ寺目】第20番 長台寺
この日も残り2ヶ寺。色鮮やかなチューリップの生命力に背中を押されて、ラストスパート。
伯太町安田の長台寺。
普段はあるはずの「びんずる尊者」像は、感染症対策のため堂内にしまわれておりました。
手水舎が使用不可になっているお寺もありますが、前例のないコロナ禍で、各寺院ともに独自の感染症対策に苦心されている様子が伺えます。
さて、今回の巡拝から住職が腰につけているのは、仮面ライダーの変身ベルト(近年はドライバーと称します)ではありません。
いわゆる拡声器です。
20年近くこの巡拝を続ける中で、読経と御詠歌を流す拡声器を、さまざま試してきました。
最も長く巡拝のお供をしてくれて、今なお現役もしくはスーパーサブとして控えているのが、Rolandの『モバイルキューブ』。
モバイルアンプなので音量が豊かで、拡声器としても超優秀なのですが、巡拝に持って歩くには、重さ(電池なしでおよそ2,3kg)も含めてやや嵩張ることと、利用のたびにマイクやプレイヤーを有線で繋がなければならず、私も加齢を伴ってか、いささか使い勝手を「めんどう」に感じてきました。
その代わりにと、手持ちの小型Bluetoothスピーカーにマイクを繋いで、法衣の腰紐に引っ掛けて使えないか、色々試行錯誤しましたが、用途に適したマイクアンプがなく音量の乏しさを改善できず、結局は『モバイルキューブ』の再登板を繰り返していました。
つい先日、電波法の改正に伴って本堂のワイヤレスマイクを入れ替えた際に、調査と機材納入をしていただいた『株式会社ASP』(松江市八雲町)の担当の方(音響のプロ)に相談したところ、TOAの「ER-1000A-BT」という拡声器を紹介してもらい、合わせて購入。
腰に装着できて、音声出力最大10W(定格6W)。
付属のヘッドセットは、流石に坊主頭に装着すると目立つので、首にかけて使用しましたが、拡声性は十二分。マイクコードは繋ぎっぱなしで、音源はBluetoothで繋がるため、使用のたびに配線をする必要なし。重量も『モバイルキューブ』のおよそ4分の1。
これでようやく、『モバイルキューブ』を留守番舞台に定着してもらう、新しい巡拝のお供と巡り合いました。ASPの担当Iさん、ありがとう🙏
【6ヶ寺目】第21番 清水寺
閑話休題。
今回の巡拝の最後は,安来市を代表する名刹,清水寺です。
駐車場から数百メートルを歩いて、根本堂にお参りします。
堂内の内陣に入ってお勤めをさせていただきましたが、撮影禁止のため、その模様は省略です。
昨秋も有志の方4名と一緒に巡拝させて頂きましたが、1年半ぶりの団体巡拝となった今回、参加人数はコロナ禍前のおよそ半分となりました。
以前は、少子高齢化、地域社会や個人の宗教心の変容によって、巡拝者数が時を経るごとに減少していくことが気がかりでした。
しかし、コロナ禍で仏事を取り巻くあらゆる条件が10年前倒しになったとも言われる昨今。
「いざ10年後の巡拝」が現前して感じたのは、やはり数の問題ではなく、信心ある方々と同行することの悦びでした。
それは、実際に巡拝に参加された方々のみならず、やむを得ず代参を託された方や、コロナ禍の沈静化を待っての参加を考えている方々の思いも含めてものです。
これまで、寺院活動の多くが「マス・コミュニケーション」でした。
とにかく何事にも、数多く動員することが価値の基準だったわけですが、コロナ禍の一大転換によって、より「パーソナル・コミュニケーション」の価値が高まるのではないか。
根本堂から駐車場に向かう参道で参加者の背中を追いながら、そんなことに思いを馳せて、帰りのバスに乗り込みました。(住職 記)
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