住職交代のご挨拶

 この度、十月十一日の退董式をもちまして、師父である板倉博道、第十六世・碓峰博道大和尚は宗淵寺住職を退きました。

 昭和50年の就任以来45年間、ご芳情を賜ったみなさま方に、師父になり変わりまして、心より御礼申し上げます。

 先々代の急逝で直接の師伝が得られず、仏事の知識・経験に乏しかった師父は、就任当時にかなり苦労したと聞きました。私を「お寺の息子」として早くから訓育し、結果として生前に後住を譲ることができたのは、そういう自身の経験があったからかもしれません。


 その師父の後を継いで、この度宗淵寺の第十七世住職に就任しました。


 現在の世情を惟るに、新型コロナウィルスの世界的流行により、人心は未だ安まりません。また「新しい生活様式」に伴って、仏事への取り組み方も、大きく変容しつつあります。

  奇しくも今年は、宗淵寺第八世中興・未参碓禅大和尚百五十回忌の年です。大和尚が遷化された明治4年は、国家体制が大きく変わり、その余波によって廃仏の機運が盛り上がるなど、正に動乱の世でした。その中で中興大和尚は、当時人手に渡っていた寺領地を買い戻し、それまで極めて不安定だった寺基を安定させ、現在まで続く宗淵寺の歴史と活動の礎を整える、大きな行跡を残されました。その中興大和尚の百五十回忌の年に、住職を拝命する巡り合わせの縁に、改めて身が引き締まる思いです。

 

 師父からの恩訓と、中興大和尚の遺風を縁(よすが)とし、先行きが見通しづらい今の世の中で、檀信徒に過去現在未来を照らす安心を示するべく、百尺竿頭の精進に身を尽くす所存です。


 なお、今後は博道大和尚のことを、現住職を意味する「方丈」ではなく、前任者を意味する「東堂(とうどう)」もしくは「前住(前住)とお呼びかけください。 


臥龍山宗淵寺第十七世 板倉省吾 拝

宗淵寺/願興寺

島根県松江市にある曹洞宗寺院・臥龍山宗淵寺と、境内に奉祀されている出雲観音霊場第二十三番札所・新美山願興寺からのお知らせや山内行事の報告、さらに住職や寺族、檀信徒の日暮らし、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつづっています。

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